2024年NDT公演|ポストパフォーマンストーク(2024年7月13日) 公開

2025.11.18

いよいよ今週末にせまった、ネザーランド・ダンス・シアター (NDT 2) 来日公演2025。
上演に先駆けて、2024
年に群馬、神奈川、愛知にてツアーを行ったNDT 1の公演のツアー最終公演となった、愛知県芸術劇場にて713()に開催した公演後のポストパフォーマンストークの内容をご紹介します。
https://ndt2024jp.dancebase.yokohama/


NDT
来日公演2024 ポストパフォーマンストーク

登壇者:エミリー・モルナー(NDT芸術監督)、ジェネヴィーヴ・オキーフ(NDTダンサー)
聞き手:唐津絵理(愛知県芸術劇場 芸術監督/Dance Base Yokohama アーティスティックディレクター)
通訳:山田カイル

文:Dance Base Yokohama

 


La Ruta by Gabriela Carrizo カーテンコールの様子

NDT
の創作と、日本ツアーについて
唐津絵理:
本日はご来場いただき、ありがとうございました。愛知県芸術劇場 芸術監督の唐津絵理です。

これから少しお時間をいただき、NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)の芸術監督エミリー・モルナーさんと、ダンサーの方をお招きしてポストパフォーマンストークを行います。

ご存じの方も多いと思いますが、NDTのシーズンは秋に始まり、夏休みに入る前の7月まで続きます。本日は、そのシーズン最後の公演でした。カーテンコールで花束をお渡ししたダンサーたちは、本日をもってNDTを退団します。

NDTは、新しい作品をつくることに非常に情熱を注いでいるカンパニーです。長い時間をかけて皆で一緒に作品を立ち上げていく「仲間」ですので、今日のステージにもさまざまな思いが込められており、その意味でも、本当に特別な一夜になったと感じています。

私はツアー初日の群馬公演からずっと観てきましたが、とりわけ今日のステージに満ちていたエネルギーには圧倒され、胸がいっぱいになりました。きっとエミリーさんも、同じような思いを抱いているのではないかと思います。

そこでまず、日本ツアー全体のこと、そして本日の公演について、エミリーさんからお話をうかがえればと思います。

改めてご紹介します。NDT芸術監督のエミリー・モルナーさんです。そして、通訳の山田カイルさんです。まずはエミリーさん、一言お願いします。

エミリー・モルナー:
まず、日本に再び戻ってくることができて、本当に光栄です。本日ご来場くださった皆さま、そしてこのツアーを実現してくださった絵理さんに、心から感謝します。

国際的に活動するダンスカンパニーとして、このような海外ツアーができることは、私たちにとって非常に大切なことです。

唐津さんがおっしゃったように、NDTは新作をつくることを非常に重視しています。本日ご覧いただいた作品のうち、最後に上演した『One Flat Thing, reproduced』を除く2作品は、すべてNDTで新作として創作された作品です。

私たちはいつもスタジオで「コンテンポラリーダンスで何ができるのか」「この美しい身体を通してどのような表現が可能なのか」を問い続けています。そして、そこで生まれた作品を世界中に持って行き、観客の皆さんと対話することをとても大切にしています。

なぜなら、ダンスはライブパフォーマンスです。観客との対話なしには成立しません。だからこそ私たちは各地を巡り、皆さんと一緒にこのアートを考えたいのです。

日本の皆さんがこれほどダンスのことを真剣に考えてくださっていると知り、本当に心が温まりましたし、大きな励みになりました。ありがとうございます。

日本には本当に素晴らしいダンサーがいらっしゃって、私たちのカンパニーにも日本人ダンサーがいますけれども、世界中のダンスを支えていく、ダンサーを支えるということを、私たちは非常に大事にしています。そして、日本に来ることができて、本当に感激しています。

唐津:
ありがとうございます。改めてご紹介させていただきます。ダンサーのジェネヴィーヴ・オキーフさんです。最後の『One Flat Thing, reproduced』に出演されていましたので、着替えて出てきていただきました。今のお気持ちについてお話しいただけますか?


ジェネヴィーヴ・オキーフ:

すごく良い気分です。今、本当にこの素晴らしいアーティストの同僚たちと一緒に、今シーズンこの作品に取り組むことができて、とても幸せでした。今シーズンは、私たちにとって挑戦的で、とても盛りだくさんのシーズンだったので、それを無事に終えられたことに、まずは安堵しています。

そして、その締めくくりとして日本に来て、皆さんにとても温かく受け入れていただき、良い公演をたくさん行うことができたので、本当に胸をなでおろしています。ありがとうございます。


One Flat Thing, reproduced by William Forsythe カーテンコールの様子

2019年からの流れと、プログラム・キュレーションについて

唐津:
5
年前の2019年に、日本で13年ぶりにNDT公演を開催しました。当時からカンパニーの状況も芸術監督も変わっているため、今度はどのような作品を日本でご紹介できるかということを、コロナ禍もありましたが、なるべく現地に足を運んで、エミリーさんと相談をしてきました。

最初は10作品ほどの案がありました。ご存じのように、一度に上演できるのは3作品なのですが、「一つでもこの素晴らしい作品を日本に届けられないか」と、かなり無理を申し上げて、最終的に5作品の上演というスペシャルなプログラムを組むことができました。

日本でのプログラム全体のキュレーションについて、どのようにお考えか、教えていただけますか?


エミリー:

一緒にこのプログラムを作るのは、本当に良いプロセスだったと思っています。絵理さんは何回もオランダに来てくださって、作品をご覧になりながら、一緒に話し合ってプログラムを作ることができました。

コンテンポラリーダンスというものの幅広さや、NDTのダンサーたちの技巧、そして私たちが幅広いスタイルの作品に取り組んでいるということを、お見せできるようなプログラムにしたいと考えました。

そして、ダンサーや振付家たちが表現したいことはもちろん大事なのですが、いろいろな作品を観ていただいて、観客の皆さまが「どういう旅路を経験するか」「どのような体験になるか」ということも非常に大事にしています。

そのため、「どういう順番でご覧いただいたら、どのような旅路になるのか」ということをよく考えながら、絵理さんと並走してプログラムを組みました。その結果として、これまでのNDTの歩み──とくにここ4年の活動──の一端を、日本の皆さんにのように覗いていただけるような内容になったのではないかと思います。

今夜のプログラムでも、1作品目のガブリエラ・カリーソ『La Ruta』は非常に演劇的でありながら、やはり身体に根幹があるという作品から始まり、最後はウィリアム・フォーサイス『One Flat Thing, reproduced』のように、非常に抽象的で即興的な要素が複雑に絡み合う作品をご覧いただきました。

このような幅の中で、「身体でこんなにいろいろなことができるのだ」ということを感じていただけたのではないかと思います。そして、その幅広い表現を支えているのは、クラシックのトレーニングを受けつつ、コンテンポラリーな精神性を兼ね備えたダンサーたちなのだということを、お伝えできていれば嬉しいです。


コンテンポラリーダンスの解釈とNDT入団への経緯

唐津:
ありがとうございます。今、クラシックバレエのテクニックを非常に重視しているカンパニーだということをおっしゃっていましたが、ジェネヴィーヴさんはオーストラリアのバレエ団のご出身で、そこからいくつかのキャリアを経て、この非常にコンテンポラリーなカンパニーであるNDTに移って来られました。

どうしてNDTに入りたいと思ったのか、ご自身にとってコンテンポラリーダンスというものをどういうものだと捉えているか、少し教えていただけますか?


ジェネヴィーヴ:

私は日本からそれほど遠くないオーストラリアの出身です。幼い頃からクラシックバレエの訓練を受けていて、クラシックのテクニックも、自由な表現としてとても好きでした。

若い時に、NDTがメルボルンに来て上演した公演を観る機会があって、その時に一気に夢中になりました。舞台上に、ものすごい「人間そのもの」のようなものが立ち上がっていると感じて、強い共感を覚え、「いつかこういうカンパニーで踊ってみたい」「こういう踊りをいつかやってみたい」と思うようになりました。

なので、今まさにその場にいて、こうした作品に取り組むことができているのは、本当に夢のようなことです。

私にとってコンテンポラリーダンスとは、身体というものや、人間性そのものを発揮して、観客とつながる表現であると同時に、常に好奇心を持って、お互いのことや世界のことを探求していく「」だと思っています。

そうした探求のプロセスを、カンパニーという一つの集団で、時間をかけて深く一緒に行っていける。そのような環境があることは、とても素晴らしいことで、まさに今やりたいことがここでできている、という感覚です。

「どう観ればいいか分からない」コンテンポラリーダンスへのヒント

唐津:
それでは、エミリーさんにも同じテーマでお聞きしたいのですが、コンテンポラリーダンスと言うと、特に日本では「どう観ていいか分からない」「難しい」という印象を持たれてしまうことが多いと思います。

ストーリーがある作品であれば、「分かったような気になる」こともできるかもしれませんが、特に最後のフォーサイスの作品のように、ムーブメントで見せていく作品を観る時には、「何を表現しているのか」を求めてしまう方が多い印象があります。

そういう時に、エミリーさんとして、何かアドバイスのようなものがあれば教えていただけますか。


エミリー:

すごく良い、そしてすごく難しい質問をしてくださったなと思います。

まずそもそも、皆さん一人ひとりに「アートとは何か」というご自身の解釈がある、というのがアートの良いところだと思います。それを、とても具体的なものとして解釈することもできますし、抽象的に解釈することもできる。その自由があると思います。

ただ、ダンスというものは、まさに「抽象的だ」と言われがちな表現です。いわゆる昔のバレエのように物語を語る形でない限り、「これは抽象的な表現だ」と見なされることが多いです。

けれども、古典バレエの物語のある作品を見てみても、マイムのシーンと、舞踊的なシーンは分かれていますよね。物語は主にマイムやシーンの構成の中で語られていて、踊りの部分では、また別のレベルの表現が行われている。

つまり、言葉のロジックや知性とは別のところで、身体が何かを語っている、というのがダンスなのだと思います。

ですので、「別の意味の理解の仕方」を感じ取っていただくというか。例えば、スポーツのアスリートがすごいプレーをしているのを見る時、私たちは頭だけでなく身体で「すごい」と感じたりしますよね。そのように、頭ではないところでその意味を受け止めることを、ダンスは観客に求めているのだと思います。

最後の作品のように、非常に抽象的で難解な作品であっても、「こういうふうに絡み合って、こういうシステムで動いているんだな」ということをロジカルに理解できる一方で、そこで起こっていることを、もっと直接的に心や身体で感じ取ることもできるはずです。

ですので、「別の意味の捉え方」に身体を開いていただくというか、「目で聞き、耳で観る」ような感覚でダンスと向き合っていただけると良いのではないか、と思っています。

新しい世代のダンサーとコンテンポラリーダンスの「いま」

エミリー:
一つだけ、短く付け加えさせてください。

今、歴史的に見ても、身体的に非常に優れた表現力を持ったダンサーがたくさん出てきていると思います。私たちのダンサーたちも、トレーニングを通して、身体でできることの幅が本当に大きく広がっています。

振付家たちは、ダンスに限らず、美術ですとか演劇ですとか、さまざまな分野の出自を持つ方がいて、それらの要素が混ざり合いながら、新しいダンスが生まれている。そういう非常に面白くて複雑な時代に、私たちは今、生きていると思います。

そして、ここで何が起こっているのか、その全体像を一番よく見通すことができるのは、実は作品を見ている観客の皆さんなのだと考えています。

若い振付家を見るポイント

唐津:
NDT
の作品を見ていると、本当に強い身体性と同時に、音楽や照明、美術といった全ての要素がものすごく凝縮されていると感じます。特に今回は、美術や音楽に関心の高いお客様も多かったように思います。

そういった中で、エミリーさんが今、芸術監督として新しい振付家をどんどん開拓しようとされていると感じていますが、若い振付家の能力というものを、どのようなポイントでご覧になっているのか、少し聞かせていただければと思います。


エミリー:

こちらも良い質問です。世界中でいろいろな振付家の作品を見ますし、「こういう人がいるよ」「こういう面白い振付家がいるよ」と友人たちと情報交換をしたりもしています。ダンサーたちも、さまざまな振付家と共同する中で多くの人を知っているので、そこから教えてもらうこともあります。

また、まだ自分が振付家になりたいと自覚していない若いアーティストとの出会いもあります。実際に、NDT出身で、ダンサーから振付家になった人もいます。

そのように出会う人たちに共通して求めているのは、まず「何かを表現したい」「言いたいことがある」という確かな思いを持っていて、身体というものを信頼している人であることです。身体を通して言えることがある、と信じている人。

次に、ダンサーと一緒に作品をつくるプロセスに誠実に向き合う人であること。スタジオでのプロセスを、とても大事にしている人です。

そして最後に、作品を通して何かを伝えるためには観客の存在が不可欠である、ということを理解している人であることです。世の中には、「自分が表現している」ということだけを考えていて、受け手の存在をあまり重視しないアーティストもいると思いますが、それでは不十分だと思っています。

受け手がいて初めて作品は完成するのだ、ということを理解し、それを大事にしている振付家であることを、重要なポイントとして見ています。


Solo Echo by Crystal Pite カーテンコールの様子

NDTをめざす若いダンサーへのアドバイス

唐津:
素晴らしいお答え、ありがとうございます。深くうなずきながらお聞きしていました。

では、ジェネヴィーヴさんにもお聞きしたいのですが。今回、全ての会場でワークショップを開催し、日本全国からNDTに憧れている若いダンサーの卵のような方々がたくさんいらっしゃいました。

うかがったところ、NDTのオーディションには700人から1000人ぐらいが集まり、その中のほんの一握りしかカンパニーには入れないとのことでしたが、いまコンテンポラリーダンスをやりたいと思っているダンサーたちに対して、アドバイスをいただけますでしょうか。


ジェネヴィーヴ:

難しい質問ですね。人によって違うところもあるとは思いますが、私もこれまでたくさんのオーディションを受けてきました。直近で受けたオーディションが、NDTのものでしたですが、誰にとっても大事だと思うのは、「なぜこれをやりたいのか」をオーディションを受ける時に明確にしておくことだと思います。自分が本当に何をしたくてその場に向かっているのか、なぜ毎日ここで働きたいと考えているのか、ということを具体的に持つことです。

そして、自分の大事にしていることが実現できる環境なのかどうかを見極めて、そういう場所へオーディションを受けに行くことが大事なのかなと思います。

私は「自分はこういうものを大事だと考えている」という価値観があって、それが実現できる環境はどこだろうとずっと考えていました。人生のどこかのタイミングで、それがNDTだったらいいなと思っていて、幸運にも実際にそうなりました。

自分の持っている価値観と、カンパニー側が探しているものが合うのか合わないのか、ということがきっと大事なのだと思います。それが合えばもちろん良いことですし、合わなければ、一緒にやらない方が良いということでもあります。

そして、大事なのは、すべてをコントロールしようとしないことです。自分ではどうにもできない偶然やタイミングもあるので、ある程度は流れに身を任せる部分もあるのかな、と思っています。


また、大事なことを言い忘れていたのですが、自分の価値観のようなものがある時に、その価値観のために戦うことも、もちろんとても大事です。

強く追い求めて、本当に妥協は一切せず、恐れ知らずになって、その理想を追い求める。その姿勢を持ってオーディションに臨むことが大切だと思います。

オーディションを受けるというのは、自分を世界に差し出すことでもあるので、「もしかしたらうまくいくかもしれない」「本当にやりたいことができるかもしれない」と信じて、恐れずに、しっかりと自信を持って挑んでほしいと思います。

日本人ダンサーとNDT

唐津:
ありがとうございます。少し、ダンサーについての質問をエミリーさんにもしたいのですが、今回は3人の日本人ダンサーがいらっしゃいました。これまでも、本当にたくさんの優れた日本人ダンサーがNDTに所属して活躍してきましたが、ここしばらくは新たな日本人の入団がないな、とも感じています。

日本では、とても素晴らしい技術を学んだダンサーたちがたくさんいて、海外に留学したりカンパニーに入ったりしているのに、NDTとの間には何か「間」があるのではないかとも思います。

その原因のようなもの、あるいは、日本のダンサーにとって何か足りていないものがあるのか、もし感じていらっしゃることがあれば教えていただけますか。


エミリー:

はっきりとは分からない、というのが正直なところです。ただ、事実として、オーディションで以前より日本からの応募が減っている、というのはあります。

今日この中にも、きっとダンサーの方がいらっしゃるのではないかと思いますが、NDTでは夏にサマー・ダンス・インテンシブという集中講座を開いていて、世界中から若いダンサーを60人集め、夏の間にできる限り多くの技術や経験を共有する、ということをしています。ぜひ応募していただきたいと思っています。

なぜ日本からの応募が減っているのかということは、まさに絵理さんとも一緒に、もっと考えて調べていきたいテーマです。日本のダンス教育の体系の問題であるとか、私たちの側のアクセシビリティの問題であったり、応募プロセスの認知度の問題であったり、いろいろな要因があるかもしれません。

ただ、技術の問題ではないと思います。そこではない、ということは強調しておきたいです。

私たちは常々、クラシックのトレーニングは非常に大事だと考えていますが、クラシック音楽でジャズを演奏したい人にとって古典の演奏技術が重要であるように、バレエの技術も重視しています。そのうえで、そこに何か一つ上乗せする、あるいはそれを崩していくようなコンテンポラリーの技術や視点を獲得することに意識的になってもらえると一緒にできる可能性が増えるような気がします。

もしかしたら、日本のダンサーの皆さんにとっては、その「コンテンポラリーなツール」を、すでにある素晴らしいクラシックのトレーニングに結びつけていくことが、もう少し必要なのかもしれません。そして、それが必要だと分かっているからこそ、「自分はまだそこまで達していない」と感じて、NDTへの応募を躊躇してしまう方もいるのかもしれません。

もしそうだとしたら、私たちカンパニーとしても、そうした視点を身につけていくお手伝いをしていきたいと思っています。次の世代のダンサーの皆さんと一緒に、その可能性を広げていけたらと願っています。

これからの目標

唐津:
ありがとうございます。今、本当に心強いお言葉をいただきました。日本にも、ダンサーを目指している若い才能がたくさんいると思いますので、NDTへのアクセスがより開かれていくような形で、いろいろなサポートを一緒にしていければと思います。

まだまだお聞きしたいことはあるのですが、時間が来てしまいましたので、このあたりで最後の質問とさせていただきたいと思います。

このツアーの後、それぞれの今後に向けて、ご自身の目標や、目指しているものがあれば、何でも構いませんので、教えていただけますか。


ジェネヴィーヴ:

今思うことをお話しします。明日にはもしかしたら少し考えが変わっているかもしれませんが、今の気持ちとして聞いてください。

短期的には、やはり次のシーズンがすでに決まっていますので、そこに用意されているさまざまな機会を全部活かして、できるだけ良いものをつくること。そして、そのプロセスの中で、同じカンパニーの仲間たちや、周りにいるたくさんの素晴らしいクリエイターたちと、どれだけ良い関係を築いていけるか、ということを大事にしたいと思っています。

こうしてツアーで世界中を回り、いろいろな観客の方や地域と出会う機会があると、「自分はダンサーとして、本当に恵まれた場所にいるのだな」ということを改めて実感します。その恵まれた環境をしっかりと自覚して、それを生かして次につなげていきたいと思っています。


エミリー:

私にとっては、人生を通じてずっと変わらないことですが、芸術監督としても大事にしているのは、「芸術を通じて世界をより深く知り、世界とつながること」です。

今、世界にはさまざまな争いがありますが、その解決の糸口は芸術の中にあると私は思っています。もし芸術がなかったら、本当にまったく違う世界になってしまうでしょう。

だからこそ、創造的であり続けること、毎日芸術を通して世界を学ぶこと、そのことを大事に活動していきたいと思っています。

そして、改めて日本の皆さんにお礼をお伝えしたいです。私たちを迎えてくださり、本当にありがとうございました。


唐津:

ありがとうございました。このご縁を、ぜひ次の機会へとつなげていきたいと思っています。また、愛知県芸術劇場にも足を運んでいただきたいですし、皆さんが海外旅行に行かれるようなことがあれば、ぜひNDTの舞台も観に行っていただければ嬉しいです。

本日はお疲れのところ、本当にありがとうございました。

 

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